水と産業をつないできた川、春木川の歴史
私たちが拠点を置く岸和田には、大小さまざまな川が流れ、その先に広がる岸和田港を通じて、古くから水と産業が結びついてきたまちです。とくに、創業地である春木町近くを流れる「春木川」の歴史は、「水をどう使い、どう戻すか」という問いを地域全体で共有してきた歩みでもあります。そこで今回は、そんな春木川の歴史についてご紹介したいと思います。
水源を守るために開催されたコンサートやお芝居
岸和田市内を流れる春木川は、神於山を水源に市街地を抜けて大阪湾へ注ぐ、全長およそ10キロの川です。決して大きな河川ではありませんが、かつては農業用水や生活用水として、地域の暮らしと密接に関わってきました。
高度経済成長期以降、流域人口の増加や下水道未整備の影響により、春木川の水質は悪化していきます。この状況に対し、市民の側から川を見つめ直そうとする動きが生まれました。1987年には「甦れ春木川」をテーマにしたコンサートや写真展が開かれ、1995年には地域の人びとが参加する、うたしばい『甦れ春木川 キララとポポロ冒険』が上演されました。川は「守る対象」であると同時に、「歌い、語り継ぐ存在」として捉えられていたのです。
さらに1996年には「岸和田の河川環境を考える会」が発足し、水質や生き物の調査、清掃活動などが継続的に行われてきました。専門家だけでなく、市民や子どもたちが参加し、自分たちの川を自分たちで知ろうとする姿勢が特徴でした。調査結果や地域の伝承は冊子としてまとめられ、春木川は地域の記憶として記録されていきます。
現在、春木川はかつてほど生活に入り込む存在ではありません。しかし、歌われ、調べられてきた歴史は、岸和田が水とどう向き合ってきたのかを静かに物語っています。春木川から岸和田港へと続く水の流れは、岸和田の歴史であると同時に、私たちにとっても、水を使う仕事の意味を問い続ける出発点とも言えます。
出典・参考資料
・岸和田市立図書館
「岸和田再発見 春木川」
https://www.city.kishiwada.lg.jp/site/toshokan/saihakken-harukigawa.html
・岸和田市
河川・水環境に関する公開資料(春木川関連)
・「甦れ春木川」関連資料
(1987年コンサート、1995年うたしばい、1996年「岸和田の河川環境を考える会」発足に関する記録)