コウノトリがやってくる岸和田・久米田池。南大阪に「ため池」が多い理由
南大阪に「ため池」が多い理由
岸和田市周辺には、数多くのため池が点在しています。実は大阪府は、兵庫県に次いで全国でも有数のため池密集地域とされ、なかでも南大阪はその中心地のひとつと言われています。なぜ岸和田にため池が多いのか。その理由は地形に関係があります。
岸和田は和泉山脈から大阪湾へと傾斜する丘陵地帯に広がります。大河川が少なく、安定した水量を確保しにくい土地だったため、古くから雨水を貯めて農業用水とする仕組みが必要でした。そこで築かれたのがため池です。谷あいをせき止め、土と石で堤を築き、田畑へ水を送る。こうした水利の工夫が、地域の農業を支えてきました。
ため池の歴史は古く、起源は古代にさかのぼるといわれます。江戸時代には新田開発の進展とともに整備が進み、水の配分をめぐる「水争い」も起きました。水は単なる資源ではなく、暮らしと共同体を結びつける存在だったのです。
見えないインフラという役割も
現代では農業用水としての役割に加え、防災面でも重要な機能を担っています。豪雨時の雨水を一時的に受け止める調整池の役割を果たし、地域の浸水リスクを軽減。静かな水面の裏側で、見えないインフラとして機能しているのです。
また、ため池は生き物の宝庫でもあります。トンボやカエル、水生昆虫、渡り鳥など、多様な生態系が育まれています。さらに、岸和田の久米田池には、今や世界で約6,700羽しか生息していないコウノトリが飛来することでも知られています。岸和田市公式ウェブサイトでは、実際にため池でエサを食べる様子が紹介されています。
このように、水辺の風景は人工的に築かれた池でありながら、長い時間を経て自然と共生する環境へと変化してきた点も、その魅力のひとつではないでしょうか。
岸和田のまちを歩けば、住宅地の合間や丘陵のふもとに、静かな水面が広がる光景は、地域の歴史と営みを映す鏡でもあります。水を貯め、分かち合い、守り続けてきた文化。その足跡は、今も南大阪の風景のなかに、しっかりと息づいています。
参考URL
大阪府「泉州のため池(自然・生物多様性)」
https://www.pref.osaka.lg.jp/o120180/senshunm/gyoumu/tameike.html
岸和田市「夏のため池」(ため池の生き物の例)
https://www.city.kishiwada.lg.jp/site/shizenshi/natupond.html
久米田池(岸和田に残る大きなため池)
https://www.osaka-museum.com/spot/search/?act=detail&id=693
コウノトリが飛来する久米田池
https://www.city.kishiwada.lg.jp/site/kishiwadai/20241122kounotori.html